第1章 出会い

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昔もむかし、その昔 京の街に平安京が栄えていた頃 かの有名な陰陽師・安倍晴明は 京に蔓延る流行り病を撃退するため、 40歳を迎えた頃 京の街にやってきた。 それまで天文学士だった安倍晴明は花山天皇という方の要請を受け、 陰陽師の仕事を始めたのではないかと どうやら記録が残っているらしい。 正暦4年には当時の天皇・一条天皇が病気になった際、禊(お祓いの一種)をした所、天皇はあっという間に回復し、晴明はその名を京に知らしめるようになった。 このころから天皇の信頼を受けるようになったらしく、記録にしばしば晴明が占いや陰陽道の儀式を行った様子が見られるようになる。 そのような陰陽師の活躍もあってか、 数十年で滅んでしまった平城京とは 対照的に京の街は長く都として名を馳せることが出来たのかもしれない。 この弘法さんの(イチ)を歩きながら、 私はこの東寺に想いを馳せた。 東寺は奈良の平城京から京都の平安京に遷都をした際に天皇の都を護ることを目的として建てられたそうだ。 それほど平安京にかける想いは強かったのだろう。 羅城門の東側に建立されたのが、この東寺。 そう考えると東寺は1200年以上 この長い京都の歴史を見守ってくれた存在なのだった。
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