確かに愛されていた これから俺も大事にする

　この店で最近よく見かける女の子。
　今日はライトグリーンのトップスが目に眩しい。こんな明るい色を着こなせるのは若さの特権だろう、よく似合っている。

　ここは近所に大学があるので、若い客も決して珍しくはない。だが若いといっても大学生が大半で、彼女のように明らかに中学生くらいの子は別だった。

　親の付き合いで来たのかと最初は思っていたが、広くもない店内でそのような保護者は見当たらず、また熱心に書架を眺める姿に、彼女自身が本好きなのだろうと今では思っている。悪くない、いい趣味だ。

　彼女はいつもおやじに一言二言話しかけ、それから帰る。今日も気づいたときにはいなくなっていた。