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彼女の、”記録”をするという意志を引き継がなければいけない。
彼女と同じ様に”記録”する事は出来ないから、思いついた僕は、文書で”記録”する事にした。
あまり詳しく”記録”してしまうと、また誰かを殺してしまうかもしれない。それは、”記録”する側の僕かもしれないし、”記録”を”記憶”する読み手側かもしれないし。
本当はもっと色々”記録”したい事があるんだけれど。
彼女と初めて観た映画とか、彼女に貰ったモノのとか。何故僕が殺した事になるのかとか。一つだけ付け足すなら、”少し壊れたカメラ”は僕達二人が混ざりあった物、ってところかな。でもこれが精一杯。
予感する度に消して書いてを繰り返した。
磨り減った消しゴムと鉛筆。
薄いそれが裂ける、避ける、割ける…葬る、繰り返す。
散乱する屑、屑、屑。
こうして、最初の一つが出来上がった。
この”記録”に名前を付けよう。そうだな…
『フィルムは淹れない』
これは、僕の”記憶”の”記録”。
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