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娘が自殺しました。
その日もいつものように、晩ご飯の時間なのに部屋から出てこない娘を呼びに行きました。
彼女の部屋は暗闇に包まれていました。ですがこれはいつもの事です。
電気を消して私が来ても知らんぷり。本当にいつもの事だったんです。
「ご飯出来たよ。寝てばっかりいないで早く降りてきなさい。」
荒々しい口調で暗闇の中にそう言って放ちました。
娘がいるかいないかなど確認せず私は扉を閉めました。
何時間が経ったのでしょう。
彼女は一向に降りてきません。
こちらにも片付けがあるというのに。
もう一度彼女の部屋に行きました。
「早く来なさいって言ってるでしょ!」
先程よりも声を荒あげましたが、返事はありません。
しびれを切らして電気をつけます。
彼女は私を見下ろしていました。首には紐のようなものが、足元には倒れた椅子が転がっていました。
これは到底私の考えや理解が追いつく状況ではありませんでした。
彼女を降ろす、夫を呼ぶ...。今、私がしなければならない事はたくさん、たくさんありました。
ですがその何一つとしてする事が出来ませんでした。
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