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きっかけ
愛というものが、分からない子供でした。親は自分のことを愛してるなんていうけれど、その言葉がひどく薄っぺらく聞こえたものです。
彼らは、僕が彼らに従っているから、優しいんだ。そう確信したのは、初めて彼らに逆らった時でした。
とても些細なことだったと記憶しています。
それこそ、右に曲がるか、左に曲がるか、のような本当に、些細なことでした。
旅行先で、彼らの行きたい場所と、自分の行きたい場所が違った時、彼らはひどく悲しそうな顔をして、そして優しく諭してきました。
自分の行きたいところがどんなに悪いところで、彼らの行きたいところがどんなに素晴らしいか。
ここで、自分には決定権がないと気づいたのです。彼らは優しく、けれどとても傲慢でした。
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