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オジギソウ
縁側に座って、足をぶらぶらさせていた。西の空に傾きだした太陽は、あっと言う間に空も街も熟した柿のような赤いオレンジに染めていく。
小さな庭の少しだけの花たちも、今はすべてがオレンジに染まっている。
縁側から庭に降りるには、大人用のサンダルを履かなくてはいけない。大きくて歩きにくい。それでもそのサンダルに足を入れた。
小さな庭の花壇にあるオジギソウも、オレンジ色になって元々の薄紫もわからない。
歩きにくい大きなサンダルも、オレンジ色に見える。
(夕陽の国に行くわ。)
心の中で言ってから、ピョンと縁側から降りる。
(私、小さくなってしまったの。瓶のクスリを飲んでしまったから。)
オレンジのサンダルが脱げないようにゆっくりと歩いてオジギソウに到着する。
(あなたはだあれ?西の国の魔女に魔法をかけられたのね。)
チョンとオジギソウに触れると、ゆっくりと頭を下げる。合わせてゆっくりとお辞儀をした。
(その優雅な物腰、やはり姫なのですね!私が西の国の魔女と戦って、その魔法を解いて差し上げます!)
心の中で言ってから、ため息をひとつ。
西の国の魔女とは戦わずに、熟しすぎた柿色に染まっている縁側に戻ると、再び腰掛けた。
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