366人が本棚に入れています
本棚に追加
「あっ、夕飯は肉じゃがが良いな。あと塩シャケとあさりの味噌汁」
「わっ分かったよ」
でも僕は何一つ、彼に逆らえない。
それどころか反論することさえ、ままならない。
彼こと新真しんま紗神さがみは、そのぐらい強い。
黒い髪に、黒い眼。どこか野性味のある雰囲気だけど、一言で言えばキレイな人。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能。
その上、親戚が何人も政治家になっていて、彼のご両親は世界にいくつも店を持つ企業家。
彼自身もまだ高校二年生なのに、会社の仕事を任せられている。
…それにパソコンを使って、いろいろ遊んで稼いでいる。
お金にも人にも何一つ不自由しない人の側にいるのが、何故か僕。
僕の名前は大祇たいし永河えいが。
彼と同じ黒い髪と黒い眼をしていても、顔の作りは平凡で地味。
と言うより、目立たないタイプだ。
生まれてこの方、目立とうと思ったことは一度もなかった。
勉強も運動神経もそこそこで、平凡で地味に生きるのが一番良い事だと、高校二年にして悟っていた。
なのに…彼に眼を付けられてしまった。
彼と出会ったのは高校に入学してすぐ、同じクラスになった。
でも最初はお互い、普通のクラスメートとして接していた。
最初のコメントを投稿しよう!