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「だからもっと自信を持てって。地味派手な存在って貴重だが、過ぎると重いぞ?」
派手派手なキミに言われても…。
「僕は昔からこういう性格なの。今更変えようがないんだよ」
「小さいことにこだわらなきゃいいのに」
「器も小さいもんでね」
僕はふてくされながら、彼の手から通知表を取り返した。
そして彼の通知表を差し出す。
「はい、キミは相変わらず素晴らしいことは分かったよ」
「まあな。他に評価のしようもないんだろう」
彼は自信ありげに笑う。…いろんな意味で、彼の担任は命懸けだろうな。
遠い目をした時、ふと耳に何か機械的な音が聞こえた。
「ん?」
思わず上を向くと、その音はヘリコプターの音だと分かる。それがだんだん近付いてくる。
「えっ? 何でウチの高校の近くにヘリが?」
「ああ、来たな」
彼は通知表をカバンに入れた。
「ホラ、行くぞ」
「どこへ?」
「第二校庭にヘリを停める。とっとと乗り込むぞ」
「はっ? どこへ行くんだよ?」
僕もカバンに通信票を入れ、窓に視線を向ける。
すると新真家の家紋が刻まれているヘリが、この校舎の上を通過した。第二校庭は校舎の裏にあって、いつもは運動部が使っている。でも今日は終業式だから、部活は無いワケで…。
「移動しながら話してやる」
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