353人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
高級住宅地にあって、それでもなお目立つマンション。
僕は二階があるマンションの部屋に、生まれて始めて来た。
「…噂には聞いていたけど、スゴイ所に住んでるんだね」
「そうかな? 親父がオレが住むようにって建てたマンションなんだ。実家の方が大きくて広かったし」
…想像つきません。ここより大きくて広い家なんて。
そもそも僕の実家なんて二階がある一戸建てだけど、ヘタすればここより狭くて小さいかも…。
「でっでも確かにここに一人じゃ寂しいかもね。誰か泊まりにとか来ないの?」
「あんまり。オレ、住んでいる所で騒がれるの、イヤなんだよね」
彼はそう言いながら、キッチンで料理を作っていた。何でも料理が得意で、僕にご馳走してくれると言う。
手伝おうかと申し出たけど、一人の方が良いからと言われたので、リビングのイスに座って待っていた。
他にも誘っている人がいると思っていたけれど、僕一人だけで驚いた。
彼いわく、前から僕と話がしたかったそうだけど…。
僕は彼に興味を持ってもらうような人間じゃない。だから不思議に思っていた。
「お待たせ。嫌いな食べ物、特になかったよな?」
「あっ、うん。好き嫌いはないんだ」
テーブルにはパスタとサラダ、それにスープが置かれた。
最初のコメントを投稿しよう!