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「糖分は疲れに良いって言うしね。このチョコケーキ、美味しい店から買って来たんだ。気に入ると良いケド」 「いっいただきます」  一口食べると、カカオの香りが口の中に広がった。甘さ控え目なたっぷりのクリームと、少し固めのスポンジが僕好みだった。 「美味しい…! スッゴク美味しいね」 「良かった。気に入ってくれたみたいだね」 「うん。こんなのはじめて食べた」  スポンジは少し固いけれど、クリームの量が多くて良い。それにカカオの匂いも、食欲をそそる。  さすが彼のオススメなだけはある。  いつもは食が細い僕も、出された料理は全て食べられた。 「ご馳走様。どれも本当に美味しかったよ」 「お粗末様」  食事が終わった後は、大きなテレビの前に移動してDVDを見た。僕が前から見たかったヤツで、嬉しかった。  DVDを見終わった後は、彼といろんなことを話した。彼は話題に豊富で、聞いててスゴク楽しかった。  そして時間はあっと言う間に過ぎていった。 「あっ、もうこんな時間…」  すでに夕日は消えかけていた。 「ゴメン、長居しすぎたね。僕、帰るから」  立ち上がり、カバンを掴んだ時だった。 「―帰るなよ」  いきなり後ろから抱き締められた。     
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