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私の体に刻まれたその名を冠する彼らが、私にたくさんの世界を見せてくれた。
ある時は数式の織り成す科学の世界。
ある時は文字列の織り成す物語の世界。
そして、真っ白だったキャンバスが真っ黒になった時、どうやら私は完成したらしい。
彼らは私を大きな博物館へと運んだ。私は仰々しいガラスのケースに入れられ、白い光でライトアップされた。よく空調の利いたその中で、私はたくさんの人間に囲まれた。
彼らの手には、小さな端末が握られていた。彼らは興味津々といった顔でそれを私に向け、せっせと私の姿を記録させた。他に面白いものはいくらでもあるだろうに、ただ大きいだけの自分の何が彼らをそこまで熱中させるのか、私にはわからなかった。
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