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「……で……イ……」
私は、最近、いつも同じ夢を見ていた。
「……な、いで……ゼイ……」
とても甘く、優しく、切ない悪夢を。
狂おしい様な悪夢の中、何故か私は、いつも高校生の姿に戻っていて。
そうして、彼を追い掛け続けているのだ。
「……かないで……ルゼイ……」
満点の星空の下、どんなに手を伸ばしても辿り着けない――遠くなっていく彼の背中に、私はひたすら手を伸ばす。
泣きながら、何度でも何度でも。
だって、夢の中の私は知っていたから。
『そこ』に行ってしまえば、彼はもう――二度と戻ってこないということを。
だから、夢の中の私は、必死に手を伸ばし続けるのだ。
(行かないで……! お願い、行ったら駄目……! だって、私、まだ貴方に伝えてないもの……! 一番大切なことを……!)
遠ざかる肩までの長めの焦げ茶色の髪に、引き摺りそうな程黒いマント。
そうして、泣きじゃくる私に振り返り、困った様に頬笑む貴方の名前は――。
「行かないでっ……! リルゼイ……!!」
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