お持ち帰りは吸血鬼で宜しいですか?

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「ふふ、こんな事もあろうかとこの本を保管しておいて良かったよ。さぁ、皆? 生の吸血鬼さんなんて滅多にお目にかかれないぞ。是非、色々聞かせて頂こうじゃないか」  そう言って、青年をソファーに座らせると、ビデオカメラを回しインタビューを始める父。 (ああ、パパもこういう人だった……)  まるで新聞記者の様に生き生きとした父を見つめ、私は若干顔をひきつらせる。  まぁ、でも、家族と青年双方に軋轢が生じなかったのは良かった――私がそんな事を考えながら、一息つこうとジュースを飲んでいると、不意に父と青年の会話が耳に入ってきた。 「早速だけど。君、名前は?」 「私か? 私の名前は、リルゼイだ。リルゼイ=D=アルカード三世という」 「おお! 何やら吸血鬼に相応しい、貴族の様な名前だね!」 「いや、私は一応純粋な貴族なのだが……」 「本物の吸血鬼で貴族なのかい!? それは凄い! ぜひ、もっと話を聞かせてくれないか!」 (うっわぁ、パパ超よろこんでる。あんなにはしゃいじゃって、子供みたい)  
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