お持ち帰りは吸血鬼で宜しいですか?

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 余りの父の食い付きっぷりに若干――と言うか、かなり引き気味な青年ことリルゼイを見つめ、思わずふっと苦笑を漏らす私。 (う~ん、ちょっと大変そうかも。後でタイミングを見計らって助けてあげようかな)  リルゼイが矢継ぎ早に質問を浴びせかけられるのを見つめていると、百貨店での襲撃の件を聞いた父が思ってもみない質問を口にした。 「リルゼイくん? そう言えば、君……うちの真由とは初対面なんだよね? 何故、君は初めて会う人間である娘を助けてくれたんだい? 吸血鬼である君からしたら、その魔物っぽい奴の方が種族的には近いんだよね?」  確かに、私も気になっていた。初対面である彼は、何故見ず知らずの私を助けてくれたのだろう。  気になった私が耳を澄ませていると、ぽつぽつとリルゼイが答えを口にし始める。 「まず、困っている民を助けるのは、私は貴族の務めだと思っている。そもそも、人間全体を餌と思う様な物の見方に、私は反対なのだ。私も、元は人間であったからな」  
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