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更に言うなら、今日は冬休み中の為食堂も閉まっているというのに、お弁当も忘れてきた。
(あーあ。 何してんだろ、私……)
空っぽのバッグをやや乱暴に棚に戻すと、どっかりとベンチに腰掛け、ぼんやり空を見上げる私。
澄みきった青い空は何処までも高く、まるで心の全てが洗われる様だった。
(綺麗。私もリルゼイみたいに吸血鬼だったら、この空を自由に飛び回れるのかなぁ)
私が感傷に浸りながらそんなことを考えていると、ふと、ゴール地点である校門の方から、何やら黄色い歓声が聞こえてくる。
(あれ、皆の声だ。どうしたんだろう。もしかして、格好いい先輩が遊びに来てるとか?)
私はそんなミーハーな期待を抱くと、校門の方に向けて走り出す。
すると、校門が近付くにつれ、沢山の女子に囲まれる背の高い人影が見えてきた。
一九〇センチはあろうかという長身に、何処かの雑誌のモデルかと思われる様なすっきりと整ったスタイル。
私は何故だか、その後ろ姿に見覚えがあった。
(え、まさか、もしかして?)
すると、人影の方も私の気配に気が付いたのか、ゆっくり此方に顔を向ける。
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