お持ち帰りは吸血鬼で宜しいですか?

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お持ち帰りは吸血鬼で宜しいですか?

 疑惑の『君が食べたい』発言から数時間後。  私は彼を連れて、自分の家の前に立っていた。  と、言っても今の彼に意識はない。  なので、かなり長身な彼に、私が肩を貸している様なかたちになっている訳なのだが。 (あー……ここまで大変だった! 折角、クリスマスパーティーの為に貯めたのに。お陰様で、今月のバイト代が消えちゃったわ!! 御馳走するとは言ったけど、これは別よ。起きたら絶対に全額請求してやるんだから!)  此処まで私達を運んで来てくれたタクシーに料金を支払いつつ、私は大きな溜め息を吐く。  何故なら、例の発言から数秒後、彼はそのまま爆睡を始めてしまったのだ。  きっと、起き抜けに激しい戦闘を行った為、相当疲れたのだろう。  私は彼の両腕を掴むと、半ば引き摺る様にして地下鉄の銀座駅の方へと連れて行こうとする。 (こんなになるまで私を護ってくれたんだし、お礼位はしなくちゃね。まぁ、私は食べさせてあげられないけど。取り敢えず、先ずはうちで休ませてあげて……ご飯は彼が目を覚ましてから考えればいいか)  そんな事を考えながら、駅まで彼を運ぼうとする私。
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