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聖夜前日の贈り物
四年前、高校一年生の十二月二十三日。時刻は夜の七時五十分。
私――宝条真由は一人、粉雪舞い散る夜の銀座の街を歩いていた。
理由は簡単。いよいよ明日に迫った、友達とのクリスマスパーティー用のプレゼントと紙バッグを買う為だ。
え? 近所で買えばいいじゃないかって?
そんなのは絶対に駄目だ。
何故なら、こんな日に店頭にあるのは、ほぼ売れ残りに決まっている。
売れ残った物には、売れ残るだけの理由があるのだ。
そんな物、絶対に沢山の友達が招待されているクリスマスパーティーに持っていく訳にはいかない。
酷ければ卒業までの一年間、ずっと『宝条真由はセンスが悪い』という素敵過ぎるレッテルが付きまとうのである。
(絶対に嫌……!!)
思春期の高校生の人間関係というのは、非常にデリケートで難しいのだ。
もっと早く買っておけばいいのに、という尤も過ぎるご意見もあるだろう。だが、高校生というものは、毎日、友達付き合いや部活で忙しい。
三日前は友達とカラオケ、二日前は池袋でショッピング、昨日は部活の先輩とのクリスマス会……今週は予定が盛りだくさんだったのである。
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