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恐る恐る私は陸先輩をチラッと見る。
陸先輩は片手で顔を隠し、私とは逆の方を見ている。気のせいか、手の隙間から見える陸先輩の顔は赤くなっているように見えた。
「俺は高飛びのついでかよ。」
ボソッと呟いて、照れながら私の頭に手を乗せ髪の毛をわしゃわしゃしてきた。そして、顔を近づけ陸先輩は言った。
「美希、今日も一緒に帰るぞ。」
それだけ言うと、陸先輩はパッと私から離れて走ってその場を離れた。
「・・・期待していいのかな。」
私はマットの上に座ったまま走っていく陸先輩をしばらく見つめていた。
そして部活も終わり、緊張しながら陸先輩と一緒に帰る。しばらく沈黙が続いたが、陸先輩がまたレモン味の飴をくれた。2人で飴を舐めながら歩く。
ふと、陸先輩が立ち止まった。私も合わせて立ち止まる。茜色の空を見上げながら、陸先輩が口を開いた。
「飛べて良かったな。願い事した甲斐があったよ。」
それから私の方をじぃっと見てきた。何故だか私は金縛りにあったように固まり、陸先輩から目が離せなかった。
夕日が私達を照らす。そして陸先輩は私の髪の毛をひと撫でして、そのままキスをした。
夕日のせいか2人とも顔が赤くなっている。
私の初めてのキスは甘酸っぱいレモンの味がした。
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