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「俺もさ、急にスランプに陥って高飛びの楽しさを忘れた事があったんだ。早くなんとかしなきゃって焦ってがむしゃらに練習した。無理し過ぎたんだろうな。そのせいで足を怪我して、それが致命的になって結果、高飛び出来なくてなるなんてさ。」
陸先輩、今の私みたいな状況だったんだ。それで心配してくれてたんだ。
「でも今飛べただろ?少しずつだけど足も良くなってきている。俺はまだ諦めてない。いつか必ず高飛びの世界に復帰するんだ。また空の景色が見れるように。」
陸先輩は空を見上げた。私も一緒に空を見上げる。空はだいぶ暗くなり星が見え始めていた。その星に私は願った。
『陸先輩がまた高飛びで空の景色を楽しめますように・・。』
星に願い事をしていると、陸先輩がそっと私のほっぺにキスをした。
「ふぇ?」
私は変な声を出しながら、勢いよく陸先輩の方を見る。そんな私を見て陸先輩は笑っていた。
「星にお願いしといたから。『美希がまた高飛びで空の景色を楽しめますように』って。コレは早くスランプから立ち直れるようおまじない。」
陸先輩は自分のほっぺを指差しながら言った。キスはただのおまじないだったのか。嬉しくもあり特別な気持ちを期待してた分、少し残念でもあった。
「暗くなってきたから早く帰るか。送るよ。」
「ありがとうございます。」
私は急いで制服に着替え、2人で夜道を歩きながら帰った。
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