その人は

2/13
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
それは一冊の古びたお手製のいわゆる帳面から始まった。 お祖母ちゃんの形見でもあった。 大好きだったお祖母ちゃんのお通夜の日に見せられた帳面。 わたし、今里幸実(いまさとゆきみ)、今年成人したばかりの人見知り女子。 今では活気も随分なくなったものの、子供の頃は小学生が学校帰りに立ち寄る、商店街の一角で。 細々と駄菓子屋を営んでいた、小柄なお祖母ちゃんは、大きな怪我も病気もしたことなく。 大往生で家族に看取られながらの最期だった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!