第三話 信長様は姫だった

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第三話 信長様は姫だった

 織田信長が実際に採った戦略が正解なはずだ。周囲の大人に理解されなかったなら、なおさらおれに興味をもつのは間違いないだろう。  現時点で名目上の尾張国トップ――守護(しゅご)斯波(しば)武衛(ぶえい)義統(よしむね)の元で、信長父親の信秀は随一の実力者と目されている。そして信秀の最大の政敵といえば、形式上の上司の織田大和守(やまとのかみ)信友(のぶとも)だ。史実で信秀の代では信友を排除できず、信長も苦労して信友を討っている。 「されば……民を(やす)んじ富ませ、商人の助力を得ます。そして、武力をもって不要な秩序を破壊し、新しき秩序を創り出す。まずは大義名分を得て、織田大和守を除き、守護様を操れば良いかと!」  どうだ? 正解だろう? 信長くん。 「ワハハ。ワシのことを理解できるようじゃな。名を申せ」  やっぱり正解だ。良かった。少し肩の荷が降りたぞ。 「(それがし)はカズマと申します」  それらしい言葉(づか)いで返答する。 「気に入ったのじゃ。ワシに付いて来い!」  美少年信長はにっこりと素敵な笑顔だ。  うまくいったようだな。第一関門突破といったところか。     
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