ボクとナナ

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 大人しかったのはほんの数日だった。首輪への反応もいつも通りで、ねえちゃんもママも諦めたみたいだ。ナナよかったね。ボクはどっちでもいいけど。  1泊入院のあと変な服で1週間を過ごし、抜糸に行ったらしい。帰ってきたナナはおなかがはげピンクだったけど、気にはならないらしく、走り回ってるし、いつものようにボクの部屋を上からのぞき込んでる……。ボクがはげるわ!  桜の季節も終わり、ナナはまたひとまわり大きくなった気がする。いつの間にか、はげてたおなかも白い毛にすっかり覆われ元通りだ。  ボクの部屋の天井はツクツクのシートつきのフタから、ツクツクシートonワイヤーネット(格子になったやつ)になった。まあ、フタよりはマシだけれど、外は見づらいし、風通しもイマイチ。ナナが来るまでの全開、天井になんにもなかった頃がやっぱりよかったなぁ。なんだかおっさんが昔を懐かしんでいるようなボク? 「いっちゃん、ご飯だよ」  ねえちゃんもママもツクツクとワイヤーの隙間から水場にご飯を落とし入れる。雑だ、全くもってザツだな、二人とも。
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