ニホンイシガメのひとりごと

ボクはクライマーだった

　小さい頃はよく部屋から出してもらえたのでリビングや廊下など歩き回った。一度歩くとだいたい覚えるから、次に出してもらったときは気に入った場所に直行する。ある日、二人がその辺にいるだろうと油断したすきにレースのカーテンの裏側を登った。ボクがいないのに気づいて探しはじめた。呼んでるのは知ってたけどクライミングは楽しい。夢中で登ってたら、ママに見つかった。残念だったなあ。あとちょっとで上まで行けるところだったのに……。