47人が本棚に入れています
本棚に追加
もう一匹のイチ
ボクがねえちゃんちに棲んで2、3年ぐらいたった頃だったかな。じいちゃんちから戻ってきたママがねえちゃんに言った。
「あれは、いっちゃんではないわ。でっかいアカミミ。電話では聞いてたけど」
「何?」
「かっちゃん(ねえちゃんの6個上の従兄弟)が農道を車で走ってて、見つけたらしい。甲羅に大きな傷があってかわいそうだから、面倒見に来るからじいちゃんちに置いてほしいって」
ママがこれくらい、と手で大きさを示している。どうやら30㎝ぐらいのようだ。
「あのさー、漬物を漬ける桶っていうか樽あるじゃん。ゴミバケツよりちょっと大きいくらいのプラスチックのやつ、あれに入ってた」
「水入ってるの?」
「10㎝も入ってなかったかも。背中出てた」
甲羅はカラスにつつかれたのか、結構な大きさの傷だったらしい。
最初のコメントを投稿しよう!