気になる彼とそのあとは

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「これって、図書室にあったの?」 「う、いや……本屋で」 「ふぅん、買ったんだ」 居たたまれない私とは逆に、嬉しそうに本のページを捲る城戸くん。 「この本、効果抜群!ってレビューでもしとく?」 なんてなーと悪戯に笑う彼に、 一つだけ気になってたことを問いかけてみる。 「あの……私が図書室によくいるって、知ってたの? 一度も会ったことないのになって思って」 単なる当てずっぽうかもしれない。 こういう本を読むなら図書室にもいくだろうと思ったのかな……? 「え?だっていつも朝……」 そこまで言って、城戸くんは口をつぐむと、 かぁーっと顔を赤く染めた。 「……っ内緒!」 「え……、気になります」 「そのうち!ね!」 駐輪場から靴箱までの僅かな距離。 彼が密かに図書室の窓を見上げていたことを知るのは、 ……もう少し先のお話。 Fin*
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