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「…………」
「……あの、無言はやめて……
俺めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど」
……無理!だって、完全に思考停止してる……
「ふっ、固まってる」
城戸くんは手を緩めて私の顔を覗きこむと、
可笑しそうに笑いながら私の頬をつついた。
「……あ、……握手から、なのでは」
カタコトになりながら絞り出すようにそう言うと、
彼は視線を宙に泳がせて、「あー……」と溢す。
「だって、同じ気持ちだったってわかったら、
そんなのすっ飛ばしちゃうだろ……」
そして、改まったように真面目な顔になると、
「俺も、奥原さんのこと気になってました。」
と私に告げた。
「…………っ」
あ、ダメ、涙溢れそう……
堪えきれなくなってぽろっと溢れた滴を、城戸くんの指が掬い上げる。
「……なんか言ってよ」
「……っ、こんな展開
本には載ってませんでした……!!」
私の渾身の一言に、
ふはっ!と吹き出して笑う彼。
―――私ね、
城戸くんのその笑顔が見たかったの……
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