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『一、身だしなみに気を遣う』
清潔感が大事か……なになに、シャンプーの香り?うーん、自分じゃ分からないなぁ……
『一、彼の視界になるべく入る』
視界どころか、存在を認識されてるのかすら怪しいけど……
『一、目が合ったらすかさず微笑む』
まず、目を合わすところで既にハードルが……
『一、笑顔で挨拶!』
はい、無理~っ!
どわぁーっと謎の溜め息を吐いて、
机に突っ伏した。
人も疎らな朝の学校。
いつも皆より少し早く着いて、貸し切り状態のこの図書室で、本を読みながらまったり過ごすのが最近のお気に入りなのだ。
それに、
この窓際からは……駐輪場が見えるから。
「あ、来た……」
友達を自転車の後ろに乗せて、
朝から何やらふざけ合いながら、いつもの場所に自転車を停めている。
「おー、おはよー恒祐」
「はよーす」
後から来た別の友達と気軽な挨拶を交わしながら、
楽しそうに校舎に向かう彼をここから見おろすのが、日課となっていた。
同じクラスの、城戸 恒祐くん。
いつも友達に囲まれていて、賑やかで、やんちゃで、
笑ったときのえくぼが可愛いな、と密かに思ってた。
念のため言っておくと、断じてストーカーではない!
ただ……チラリと盗み見するだけ。
それだけで満足だった。この間までは……
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