気になる彼と近づく方法

4/5
前へ
/15ページ
次へ
城戸くんの家は、シングルマザーでお母さんが働きに出ているらしい。 弟のお迎えや夕飯の支度を彼がやっているというのは、前に友達との会話から聞こえてきたことがあった。 運動全般なんでもこなせる城戸くんが、部活に所属してないのはそういうことだったんだ。と、そのとき納得したのを覚えてる。 周りの友達から、大変そう、自分の時間がなくて可哀想、などと言われたときにも、 『妹たちが可愛くて仕方ないから、全然苦じゃないんだよなー』と、笑いながらあっけらかんと話していたのが印象的だった。 思えばあの時から、 彼のことを意識していたのかもしれない。 ……城戸くんが弟と妹に見せた、 あの笑顔が頭に焼き付いて離れない。 誰からも好かれて、明るくて、 何となく世界が違う人のような気がしてた。 奥手で、人見知り、男の子と話すのが苦手な私には、 高望みな恋だと。 でも…… やっぱり、話してみたい。 あの笑顔を、近くでみてみたい。 願わくば……私に、笑いかけてほしい。 彼に、どうしようもなく惹かれてしまったから……
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

203人が本棚に入れています
本棚に追加