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「あっ！それ……」
私が手を伸ばすより先に、
「……気になる彼と近づく方法……？」
男の子にタイトルを音読されてしまって、
私はその瞬間サッと血の気が引いた。
「へぇ！奥原さんも、こういうの興味あるんだ。
なんか意外なんだけど！」
からかったつもりではないのかもしれない。
ただ単に、意外だっていう感想。
それでも、私にとっては……
男の子が興味深そうにその本を捲っていることよりも、
近くの数人にクスクスと笑われてることよりも、
よりによって、城戸くんの目の前で……
もうこの場から消えちゃいたい。
「あーっ、それ、俺が頼んだ本！
早速持ってきてくれたんだ？」
突然、城戸くんが割り込むように間に入ってきて、
その男の子から本をパッと取り上げた。
私は、目を見開いてその様子を他人事のように眺める。
だって、私、彼に本を貸す約束なんて……
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