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世の中は理不尽で出来ている。
人より抜きん出た魔力を持つ王族が次世代の王を継承する。建国より続く我がジュール王国のならわしは、はっきり言って欲しくないものを無理やり押し付けられるようなものだ。
隣国のローザ帝国は年功序列と聞いた。
ジュール王国もいっそ年長者が国を導く決まりに改定すればいいのに。
父王の崩御の知らせが届いた時は絶望感で泣いた。
近しい身内を亡くした悲しみよりも、今後の自分の人生が勝手に決定付けられたようで、到底外せない足枷が我が身を纏わる気配に震え上がる。
一個人の感情など王には必要ない。
臣下や民衆の望む姿を求められ、それを体現する行為を死ぬまで続けてこそ名君と謳われ尊敬された。
万人の精神の安定は国の安定にそのまま直結する。
ただ1人、頂点に立つ者だけを犠牲にして。
一種の信仰の対象を具現化した器。
ただの入れ物の役割りなど誰がしたいと言うのだろう。逃げ出したいのに、今まで培ってきた倫理観が王族の責務を果たせと脅してくる。
若干、17歳の若き王。
欲しくもない盛大な希望と期待と嫉妬を背負わされ、生きる屍となる決意を “ させられた ” レアル王の誕生である。
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