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アルディさんの中で、わたしやお父さんは信用がさらさらないことが判明する。……分かっていたけれど、なんて酷い扱いなのか。
「じゃあ、クロードさん推しだけでもやめてくれませんか? 貴方までクロードさんの味方をされては困るんですよ」
ただでさえ、クロードさん1人でも手に余るというのに。
2人がかりで来られたら逃げ場がなくて……いや逃げるつもりはないんですけど、今は答えが出せないから待って欲しいって言うのが本音だったりする。
「お父さんの過去を聞いたから余計に思いました。わたしの事を好きになってくれた人にですね、きちんと向き合いもせずに答えを出すべきじゃないなと……」
好きの特別を見つけるまでは、ただの好きではダメなのだ。たぶん、そういう事ですよね?
「流されんのをやめたってことか」
「そうですね。今までも流されるつもりはなかったんですけども……深く考えてなかったことは認めます」
お貴族様だとか村娘だとか、イケメンだとかイモだとか、 そんな単純な構図で読み取るんじゃなくて。
1人の人間として見るべきだってことが抜け落ちてたんだと思う。
「だからですね、少し距離を置いてじっくり考えさせて欲しいって言うか……」
魔術はなくなった。お父さんの事も皆は色々言うけれど……自分の中では納得出来ていることだった。後の憂いは借金だけで、それを考えないで済む環境に身を置いて初めて、落ち着いて考えれるという結論なのですよ。
「分かった。借金のことは心配するな。どうせクロード様も要らないって言ってた事だし忘れていいだろう。……だけどな、これだけは言っておく。俺はもうクロード様を推してはいない。この意味、分かるか?」
推してない? ええと……分かりませんが、と答えた後で、続いたアルディさんの言葉に度肝を抜かれることになる。
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