追う者と追われる者。恋愛の終着点はどこですか?

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「それに君は僕を呪縛から救ってくれた恩人でもあるんだよ? 分かってる?」 「わか、分かりま……っ」 い、息が出来ない。 喋ると空気と一緒に甘い芳香が鼻どころか体内にまで入り込みそうで怖くなる。ただでさえ、この体勢この近さこの状況はとっても危険だ。( おもにわたしの脳と貞操が ) 「僕はずっと囚われていた。違う、嫌だと思っていてもローザの王族としてベリスの再来としての自分に。否定しても否定しようがない行動だったのはサエも知っているだろう」 「それは……」 知っているけども。 だけど結局、最後の最後で戦争を回避する決断をしたのはラウル様であり、その説得を請け負ったのはお父さんです。わたしは逃げるだけ逃げて、怒らして、あわや戦争寸前まで追い込んだ元凶と言えるかもしれないのですが…… 無謀で無策だった自分に自己嫌悪だ。 止めたかったのに加速させるような行動だったと反省してもし足りないぐらいです。 「サエ。忘れてない? 君のその無謀さがなければ、そもそもベリスには会えなかったはずだ。だから、やっぱり君のおかげで間違いない」 「そう、ですかね?」 「うん。君は僕の価値観を根底から変えてくれたんだ。いい方向にね。元からあった好意を本気に変えたのも君自身なんだから、責任持って受け止めてくれなきゃいけないと思うんだけど?」 「……うー、で、ですけどもですねっ」 ちょ、ちょっとお待ち下さい。 顔がっ!顔が徐々に迫って来てますよ?! 受け止める意味がだいぶ違うような気がするんですけどラウル様っ!!
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