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「ポロ村の皆に嘘をつかないで下さい。
疑う事を知らない良い人達ばかりなんですから」
「嘘は言ってないだろ。
現にお前は王妃に術を授ける約束をしたはずだ」
うぐ……っ、痛い所を突きましたね。
流れでそうなってしまったけれど、はっきり言ってどうすればいいか分かりません。断る事は出来ないですかね?アルディさん。
「王族との約束を違えるなんて殺してくれと頼むようなものだぞ」
い、嫌だ。死にたくないです。でも無理なんですよ。
王妃様は勘違いをなさっていましてですね、だけどそれも言えないからこんな事になってるんですけど……全部クロードさんが悪いんです。彼の演技が上手過ぎて危うくわたしも、
「危うく、なんだ?」
「い、いえ別に……」
アルディさんにまで話すところだった。
あのような状況を異性に語れるほど場慣れしていない。それに、恥はあの場だけで充分だ。
「不思議に思ってた事がある」
「はい、何ですかね?」
「王妃が賢者様と呼んでいた理由とお前のその格好についてだ。熱弁するほど気に入ってたのに、緋色に変わっているのは何故だ。それは騎士団のマントだろう」
そ、それは……あ、これは緋色に見えるかもしれませんが黒なんですよ。つり目だけに色が変わって見えるなんて面白いですよねーって、ダメか……
全く笑う気配もなく、冷淡な視線が真相を話せと脅迫してきます。
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