いざ、王宮へ

20/32
前へ
/386ページ
次へ
仕方ないと観念して、ちょっとこちらに…と、木々が生い茂る日陰に誘った。 誰もいないが念には念を押しておこう。 どういう訳かですね、王様とノエル様に魔術士である証拠を見せることになりまして。 証拠も何もないんですが命には代えれません。やるしかなかったんですよ。チャームの術を。 クロードさんが術を唱え終わったら俺に任せろと言うのでそうしました。 するとですね……海老反り状態で呻くわたしに、君が欲しいだの言葉はいらないだの言い出して。 剥いたんです。 「……何を?」 服ですよ。ロングドレスをビリって破られました。 幸いクロードさんの身体にすっぽりと隠れてたので、皆様に貧相なお胸を晒す醜態は免れましたが……真正面の彼にはバッチリ見えたことでしょう。 そこで辞めれば良かったのに、演技に入り込み過ぎたクロードさんは止まりませんでした。 なんとですね、あの艶々な唇がわたしの首元に吸いつき舌で舐め回すという所業を。 「……俺の時はナメクジと言わなかったか?」 ナメクジ…? ああ、ありましたね。アレにはゾッとしましたよ。 本当に気色の悪い酷い拷問でした。 アルディさんはどこからナメクジを出して来たんですかね? まさか常にポケットに忍ばせてるとか…やだ、ナメクジを飼う趣味をお持ちとは知りませんでした。 少し離れてくれませんか。鳥肌が凄いんで。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

305人が本棚に入れています
本棚に追加