いざ、王宮へ

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軽くアルディさんを押しやり、ええとどこまで話しましたっけ?と思案する。 ……思い出しました。 首元に埋まってるクロードさんの体重がですね、支えきれなかったんですよ。なんせ海老反りなもんで。 そのまま床に倒されて、ますます深まる吸い付きにですね……変な声が出そうになりました。 必死に我慢していたら指がわたしの口を無理やりこじ開けて来まして…… 器用に舌を優しく撫でたと思ったら、おもむろに引き抜き、唾液で濡れたその指を躊躇なく舐めたんです。 赤く長い舌を出し、見せつけるようにしながら。 熱情を宿した瞳が真っ直ぐに注がれて心臓が止まるかと思いました。トキメキで。 そしてですね、舐めつくした指をまたもやわたしの唇に戻し、親指で遊ぶようにしながら下唇を何度か往復した後、 悩ましげに言うのです。キスしていいか、と。 「したのか?!」 「まさかっ!……本音を言うと頷きかけました。 でも出来ないですよ。皆が見てるのに」 「2人きりならしてたって事か」 「ち、違います! 忘れてるようですが……演技ですからね。クロードさんは格好良いですが、心のないキスを欲しいとは思いませんよ」 頷きかけたくせによく言う…と嫌味を頂きましたが、その通り過ぎて言葉に詰まる。
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