いざ、王宮へ

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大きな幹を背もたれに、腕を組みながら暫し瞑想中のアルディさん。わたしはその周りを行ったり来たりしながら草を踏みしめていた。 いいアイデアが浮かばないものかと悩みながら。 「ところでですね、マリア嬢とはどうなりました?」 「……なんの事だ?」 「やだな。騎士様シリーズの話ですよ。 口説き落とす途中のいいところで続きになりまして。ちょうどご本人がいることだし聞いておこうと思いまして」 もしかしたら、もう見れなくなるかもしれませんし。 心残りは出来るだけ失くしておきたいのです。 「そういえば、アルディさんに親しげにベタベタとお触りになってた方がいらっしゃいましたね。 あの方がマリア嬢なら、見事たらし込みに成功したということですか?」 出来ればですね、その過程も詳しく教えて頂きたい。 さあさあお早くどうぞと、耳を傾ける。 「聞いてどうする。俺が初恋なんじゃなかったのか」 「小説の中の騎士様が初恋なんです」 「一緒じゃないか」 「違いますよ。貴方はクロードさんの影武者ですが、わたしにとったらアルディさんはアルディさんです」 それはそれ、これはこれ、的な感じに思って頂ければいいかと。 「意味が分からん奴だな」 「分かんなくていいで……ああっ!!」
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