いざ、王宮へ

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「お、お帰りなさい。クロードさん」 恥ずかしい夢を見ていました。 イケ顔の貴方と羊を間違えるなんてとんだご無礼を…と、頬を張っていた平手を慌てて戻したら、手首を掴まれチュッと音を立てた唇が手の平に落とされる。 「サエ。君の居ない時間がどんなに辛かったか。 王のご命令じゃなければ耐えることは出来なかっただろうな」 ………ええと? まだ寝ぼけているのかな。 わたしの上に覆いかぶさるクロードさんが、口が溶けてしまいそうな甘い台詞を吐いて、掴んだ手を愛しげに頬ずりをしておりますが。 その前に、ここは一体どこだろう。 確か馬車に揺られていたはず……と周囲を見渡せば、薄暗いながら勝手知ったる我が部屋だった。 ようやく慣れた柔らかなベッドに身を横たえグーグー寝ていたのかと、今の状況を把握しつつ、再度クロードさんの麗しいお顔を見上げる。 「あの、この体勢はちょっと……」 「恥ずかしがるサエも可愛らしいが、これ以上焦らさないでくれないか」 「いえ、あの、えええっっ!!」 手首に寄せていた唇が滑るように降りてきて、肩口で止まった。吐く息と重さを感じた瞬間、伸びてきた大きな手がわたしの胸を鷲掴む。 「クククロードさぁんっっ!!」 何をなさってるんですかっ!ここは王宮じゃないですよ!と叫ぶもビクともしない。 もしや、隠れて王様やノエル様がいらっしゃるのかと思ったが、そんなはずあるわけがなかった。
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