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ヤバい。これはかなりヤバいのでは、と冷や汗をかきまくる。
ここに止める人は居ないし、力の限り抵抗しているがまるで役に立たなかった。
スルリとお腹を這う指先が上へ上へと運ばれていく。素肌で触られるなんてとんでもない!と、大絶叫を放つ。
誰か助けて……アルディさん!アルディさんっ!!
「クロード様っ!!」
ドカッと扉が蹴破られ、必死こいて名を呼んでいた彼が姿を現した。
息が乱れ、髪が濡れ、鍛え上げられた上半身を晒し、下半身はバスタオルで巻かれた妙な出で立ちで。
「アルディ、下がれ。取り込み中だ」
「ダメ!来て!お願い!」
「……サエ。他の男も欲しいとは何事だ。俺だけでは満足いかないと言うのか?!」
「クロード様。申し訳ありません!」
言うなり、アルディさんがクロードさんの頭を殴りつけた。恐ろしいぐらいに派手な音を立てて吹っ飛んで行くのを見て、ホッとしたのと同時に死んだんじゃないかと不安になった。
「や、やり過ぎですよ……」
「お前のせいだろ」
ええっ!被害者を責めるなんてどういう事だ。
助けてくれたはずのアルディさんのお顔は、般若のようになっていた。
「……っ、アルディ。助かったよ……」
呻くクロードさんの側に駆け寄り、跪いて赦しを請うアルディさん。肩を貸して貰いながら立ち上がるクロードさんは、わたしを見ずに「すまない」とだけ言い残し2人で部屋を出て行った。
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