謎に蹴躓いて陰謀に囚われる

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「いつまで眺めてんだ。このドアホウが」 ゴツッと頭を小突かれる。 毎回毎回、痛いんですけど……アルディさん。 わたしに対しての扱いが酷くないですかね。 異国の殿方はとても紳士でした。同じ国の人間がこれでは恥ずかしいと思いますけど。 「早い立ち直りですね。次回も一緒にどうですか?」 「やるわけないだろ。今度誘ったらただじゃおねーからな」 軽い冗談なのに……まだ流せない心の狭さをどうにかしないとモテないですよ。 騎士様シリーズの影武者ってことは、この際無視でいい。 「顔が良ければ誰でもいいお前に言われたくない」 「失礼ですね。誰でもいいなんて一言も」 「クロード様に触れられていつも真っ赤になってるだろうが。今度はあいつかよ。フラフラしやがって」 「あいつじゃありません。ラウルさんです」 「ラウル……だと?奴がそう言ったのか」 「そうですよ。紳士でイケメンなので王子様みたいだと言ったら違うと言われましたが」 「当たり前だ。ラウルと言えば、最近内乱を制圧した隣国の若き国王の名だ」 「こ、国王様だったんですかっ!!」 隣国とはいえ、庶民が国王様に向かって馴れ馴れしい態度を取ってしまいました。また会おうと言われましたが、まさか斬り殺すつもりなんでしょうかね? どうしましょう!アルディさん! 再び命の危機だと青ざめる。
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