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「どうしてそんなところに?」
普通に部屋の扉から来れなかったのだろうか。
お化けかと思いましたよ。
「サエの部屋に続く道は、アルディの命令で我が兵に監視されている」
自分の屋敷なのに不自由なものだと不満を漏らしておりますが、グッジョブです。アルディさん。
この前のようにいきなり襲われたらたまらない。
彼の機転を褒めたいところだが、いま忍び込まれてるので後でチクッておかねばなるまい。
クロードさんをソファに進め、ベッド脇の水差しからコップに注ぐ。差し出した拍子に手が触れたら思いのほか冷たくて驚いてしまった。
「身体が冷えてますよ。いつから居たんですか」
「覚えていない。サエが湯浴みを済ませ本を読み出したぐらいからだ」
「そ、そんなに前でしたか」
2冊は読みました。3冊目を泣く泣く途中で終えたので。1人だと思って遠慮なく悶えてましたが見られていたのですね。
「声をかけてくれたら良かったのに」
「……かける勇気がなかったのだ」
「や、やっぱり気持ち悪かったですよね」
ベッドの上を転げ回り、ぐふぐふにやにやしてた自分を思い出す。いくら術にかかっているとはいえ、いい年の女の奇行は見るに耐えなかったはずだ。
「王妃にアルディが弟子だと言ったそうだな」
「あー、はい。まずかったですかね?」
相談もなしに勝手なことをしたから怒られるのかな。
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