謎に蹴躓いて陰謀に囚われる

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わたしの早い就寝という計画はどこに行ったのだろう。 朝日が眩しく部屋に差し込むのを、眠気と砂糖が埋め尽くされた脳みそでぼんやりと眺める。 結局、あれからクロードさんは部屋に居座り、わたしの手を取りながら愛を囁くという行為を一晩中お続けになりました。 来られた時の陰りは綺麗さっぱり無くなって、艶々なお肌に素晴らしく魅惑的な笑顔、軽やかな足取りという、同じく寝てないわたしとは大違いな変貌ぶりを見せて、今しがた部屋を出て行かれましてですね。 「……ヤッたのか」 「何をですか?」 「寝たのかと聞いている」 「だから寝てませんってば」 「……もういい。それで?相談とは何だ」 クロードさんを探し回っていた貴方が廊下でわたし達を見つけた時、驚愕した表情になりましたよね。 この話しを聞いたらもっと驚くことになると思いますので、どうか心を鎮めてお聞き下さい。 「違ったんですよ」 「……何が?」 「術の話しです」 「悪いが、お前の話しは支離滅裂だ。分かりやすく説明してくれないか」 ええ。そうしたいのですがね。 実はわたしもまだ事実を疑っている段階でして、寝てないこともあり頭が動いてくれないのですよ。 「じゃあ今すぐ動かせるようにしてやる」 苛立つアルディさんが花瓶を手に近付いて来たので、彼のしようとする意図がわかり慌てて口を開く。
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