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「勘違いはわたし達の方だったんですよ」
「……どういう事だ?」
ピタリと動きを止めたアルディさんから素早く花瓶を奪い取る。自分の背に隠しながら深呼吸で心を落ち着けて一気に言い放つ。
「クロードさんは術にかかってないんです」
「いや、かかってるだろ。どう見ても」
ですよね。わたしもそう思ってたんですがね。
「アルディさん。覚えてますか?
貴方の前で古代魔術書を声に出して読んでいたことを。その時、貴方に術なんて発動していませんよね」
「お前のやる気がなかったからだろ」
「そ、それもありますが、とにかくですね。
あんなに唱えて一つも出来なかったものが、ぶっつけ本番に近いクロードさんの前で出来るわけがないんです」
「……一理あるっちゃあるな。
だが、それではクロード様の奇行の理由が分からない。何を好き好んでお前みたいなイモに執着しなきゃならんのだ」
ひ、酷い……でも、麗しい騎士様が顔面平均値以下と呼ばれた自分に好意を寄せるとは、一体誰が想像出来ただろうと、彼の暴言に理解を示す。
「王様の前でした事は演技で間違いありませんでした。止められても続けたのは、すぐに正気を見せたら逆に怪しまれると思ったからだそうですよ」
「……それも、分かるっちゃ分かるがな」
でもな、それでもな、とでも言いたげな目線でイモを眺めるアルディさん。
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