謎に蹴躓いて陰謀に囚われる

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「ラウルさん…様のことです」 アルディさんは内乱を制圧した若き王だと言ってましたが、彼は暗黒の覇王という恐ろし気な別名で呼ばれてるそうじゃないですか。 内乱というより彼自らが企だてた反乱で、王様だった父親や王太子だった兄、そればかりか、女子供にも容赦なく、自分の血縁に連なる者をことごとく抹殺し帝位についたとお聞きしました。 返り血を浴びた彼の姿は真っ赤に染まるのを通り越し、赤黒く変色した様相で王座に座られたとのことで、恐ろしい別名はその時についたのだろうとクロードさんはおっしゃってましたが…. 「そんな方に、また会おうと言われたんですよ! 絶対に殺す気マンマンじゃないですか!」 「……お前が怖がると思って黙ってたのに、聞いたんなら仕方ないか」 「クロードさんは、わたしが異国のラウル様にうつつを抜かしていると思い、2人きりで会うなと言いましたが、頼まれたって会いたくありません!」 だが、これからも王宮に通わねばならない。 王妃様との約束の為に。 チャームの術が使えないと分かっても、それを言えば死は確実に訪れるので言えません。嘘をつき通す覚悟でやりましょう。 しかしですね、王宮に行けば暗黒の覇王と会う可能性が高いので、出来れば行きたくないのが本音です。アルディさん、妙案はないですかね?
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