謎に蹴躓いて陰謀に囚われる

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その日から一週間、わたしは王宮に行かなかった。 ポロ村体操により王妃様が全身筋肉痛で寝込んでしまわれたそうで、大事を取って暫く術の勉強を休むと聞いたから。 最初からハードに飛ばし過ぎたかと反省しつつ、命 の危機もなくのんびり過ごせる平和な日常を謳歌する。 クロードさんへの儀式を滞りなく終えると、そのまま真っ直ぐに自分の部屋へ向かいベッドに転がった。 愛読書を読みながら食っちゃ寝食っちゃ寝というダラけた生活をしていたら、少しばかり太ったようだ。 いざ出勤の日を迎え魔術士専用の衣装を着てみたら、ゆったりしていた生地が心なしかピチッと身体に張り付いている。 それを目ざとく見つけたアルディさんが、つくべき所につかないなんて可哀想だなと、馬車の中で嫌味を吐くもんだから、クロードさんがまたもや大きな勘違いをなされたようです。 「アルディ!お前も見て触ったというのか! 返答次第では命はないものと思え!」 と、狭い中で剣を抜いて大激怒。 違いますから違いますからと必死で叫び散らすわたしと、危ねぇ危ねぇと逃げ回るアルディさん。 何とか宥めすかし誤解を解いて落ち着かせたものの、馬車を降りても腰に回した両腕が一向に離れる気配がない。
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