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「クロードさん?」
衆人環視の視線が突き刺さるので、この抱擁をお早く解いてくれませんかね。
「……君の居ない間に勝手なことをしてしまった。
王妃の耳にも届いているだろうが……どうか俺を嫌わないで欲しい」
「どういう意味でしょう?」
「……行けば分かる」
謎めいた言葉と憂いを含んだ微笑み。
一体何なんだと不思議に思ったが、アルディさんと一緒に王妃様の元に着いて早々、その謎が解き明かされた。
「サエ様、この度はおめでとうございます」
王妃様とその背後に並んだ侍女達が、口々に祝いの言葉を並べ立てる。
これといって、めでたい事はなく、むしろ体重増加というプチ事件はあったんですがね。
「ご婚約されたとお聞きしました」
「……えーと、誰がですか?」
「サエ様が」
「だ、誰とですかっ?!」
「あらやだ。照れてますの」
おほほと、品のある笑いを零した後で、秘密主義者のクロードと、とおっしゃられ目を剥いた。
な、何故そんなデマが流れたのでしょう?と聞けば、クロードさん自らが言い触らしているとのことで、更に目を剥き危うく目玉が転げ落ちそうになった。
クロードさんにかかっていた術はすぐに解いたと王妃様に説明してしまったので、まだ術がかかっているんですという嘘はつけない。
お付き合いも自覚していないのに話が飛躍し過ぎて、唖然愕然呆然だ。
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