謎に蹴躓いて陰謀に囚われる

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「サエ様は、我が国に滞在されている隣国の王ラウル様をご存知ですか?」 「……はい。命を脅かされておりますので」 「まぁ、ご冗談を」 今度はコロコロと鈴が鳴るような可憐さで笑われるので、冗談だったらどんなにいいかと心の中で呟いた。 「長らく続いた内乱のせいで途絶えていた国交を平和的に再開させる為の話し合いが、そろそろ終わるようです。 レアル様は、新しい王がいたく気に入ったご様子で、わざわざ出向いて頂いた労に対するお礼の品を贈りたいとおっしゃられました」 わたしもですね、クロードさんから暗黒の覇王だと言われなければ良い方だと思っていましたよ。 外面と中身は大違いですが、礼を尽くしたいというレアル様のお気持ちには賛同です。 「ラウル様がレアル様にご所望になられたのは、サエ様、貴女でした」 「……………い、いま何と?」 「庭園でお見かけした貴女に一目惚れしたらしいですわね」 グラリと歪んだ視界に意識が遠退きかけたことを知る。倒れそうな自分を奮い立たせ、背後のアルディさんに縋るような視線を送った。 アルディさん、アルディさん、アルディさん! 聞きましたか?! 覇王様が姑息な手段を使ってまで、わたしを抹殺したいそうですよ。 自分の国に連れ帰り、ねちっこい拷問で嬲り殺しにしてやろうとおっしゃってます!!
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