謎に蹴躓いて陰謀に囚われる

25/35
前へ
/386ページ
次へ
「悪いが、ここから先は俺は入れない。 王が呼んだのはお前だからな」 「ひ、一人で行けとっ?!」 クロードさんはエスコートしてくれたのに、貴方は見捨てると言うのですか。 わたしの監視と護衛が仕事じゃないのかと問うと、騎士団は王に危険が及ばないようにするのが仕事だと、正論をお吐きになられました。 「心配すんな。中にはクロード様がいる」 「……それも、微妙かと」 これから二者択一を迫られると言うのに、その片方の当事者がいらっしゃるとは。 「なんだお前、ラウル様に殺される方を選ぶつもりか?」 「まさか!……でも、クロードさんを選ぶと婚約を受けたみたいでですね」 なんか、それってどうなんでしょう? 「じゃあ、助言をやろう。 深く考えなくていいから、とりあえずクロード様を選んでおけ。少なくとも命は守れるからな」 後の事はまた考えればいい。今を乗り切る事に集中しろと、他人事だからか、割と簡潔で適当な物言いで助言を済ませると衛兵に合図を送る。 「ほら、行って来い」 「ちょっ!ま、まだ心の準備が出来てな」 強引なアルディさんによって、両脇に開かれた扉の中に突き飛ばされた。 「大丈夫か?」 「……はい」 転びそうな身体をしっかりと抱きとめてくれたのはクロードさん。 彼の腕の中で、あの野郎!と振り返えれば、閉まりかけた扉に丁寧に腰を下り曲げ、チラリと覗いた顔から舌を出すアルディさんが見えた。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

305人が本棚に入れています
本棚に追加