覇王様の思惑

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覇王様の思惑

ゴクリと息を呑む。 緋色のマントを掴む手が震え出した。 「サエ、こちらにおいで。 そいつを殺されたくはないだろう?」 手招きに応じるべきだ。 たとえアルディさんが強くても、無数の剣先がこちらに向けられている状況では考えなくても答えが出てしまう。 わたしさえ居なければ、わたしさえラウル様の元へ行けば済む話だと、掴んでいたものから手を離した。 「変な脅しはよせ。こいつが行ったとしても俺を殺すつもりのくせに」 「……選ぶのはサエだ」 どうする?と投げかけられた視線に反応する。 咄嗟に前に踏み出した足を、アルディさんの長い足に思い切り踏んづけられた。 「っい、痛いじゃないですかっ!」 「単純な誘いに乗るな」 「じゃあ、どうすればいいんですかアルディさん!」 「魔法を使えよ。火を吹いてビームぐらい出るだろう」 「なっ! だ、だから出来ないって言ってるじゃないですかっ!!」 こんな時に何の冗談だと猛烈に怒りが込み上げる。 「ラウル王。聞いた通りこいつはポンコツだ。 ノエルから何を聞いたか知らないが、魔法なんて使えない普通の女だぜ」 「……君は、なかなかしたたかだね。 だが、それを僕が信じなければ意味はないよ」 「まぁな」 「そろそろ死ぬ覚悟は出来ただろう。お喋りはこの辺で終わりにしてもらいたい」
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