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魔の森は謎ばかり。迷宮への入り口に到着です。
旅立ちの日は迫っていた。
「どうしても行くつもりなのか」
「はい……アルディさんがお嫌なら無理しなくてもいいですよ。1人で行きますから」
酒場のマスターにも常連の皆様にも挨拶は終え、いくばくかの給料は既に手にしている。
やっとこさ無一文から脱却が出来て喜びもひとしおですし、リュドはリュドで、ここに残るけど、後のフォローは任せておけと心強い言葉も頂きました。
何も心配することはない。……と思っている。
不安はあるけども、揺るぎない決意を胸に秘めているわけですが、どうやらアルディさんは乗り気ではないようで。
ずっとずっとずっと、しつこく引き止めてくる。
「バカ言うな。1人で行かせられるか。お前に何かあったらクロード様が壊れちまう。……待ってるだろうし、変な道草くってる場合じゃないんだよ」
「……でも、わたしは行きますから」
クロードさんの想いは……うん、嬉しいです。
好かれて気分を害する人なんていないだろう。
「お前はクロード様が好きなんじゃないのか」
「好きですよ」
「だったら」
「貴方がどう思っているのか分かりませんが、わたしはアルディさんのことも同じく好きですよ」
「……は?」
「リュドもラウル様も、ミゲルさんもレアル王も王妃様も、もちろんポロ村の皆んなも大好きなんです」
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