302人が本棚に入れています
本棚に追加
/386ページ
謎の解明? その裏で勃発した男4人の攻防戦
「………で?」
端的な言葉には、チリッと肌を焼くような憤怒が込められていた。 ヒィッ! 消し炭になりそうです。
縮こまる身を精一杯の勇気を持って仁王立ちする般若様の様子を伺えば、つり目の奥に立ち昇る真っ赤な炎が火を噴いた。ギャァッ!
こ、このままではですね、射殺されてしまう。
何とか誤解を解かねば命が危ういです!
「ですから、この方はお父さんなんですよ」
硬い石の上での正座は辛い。足を崩していいですか? わたしの寝床に転がる長髪に視線を送りながらおずおずと願い出れば、般若様の怒声が飛んでくる。
「そんな戯言はどうでもいいんだよ! どこで拾って来た? あれほど勝手にうろつくなと言ったのにお前の耳は飾りか? ああ? 千切って捨てるぞボケ!」
「ち、違うんですってば。狼さんが本体?に戻りましたらですね、馴染むまで時間がかかるとおっしゃいまして……奥からこちらに移動魔法を使ったらパタンと倒れてしまったんですよ」
「奥から拾って来たのか。それでお前はご丁寧にも自分の寝床を提供し、俺の所に転がり込んだって言うんだな」
「拾ってないですが、後はそうですね」
重かったけど、何とか頑張りましたよ。
色々あって精神的にも肉体的にも疲れたのでポロ村の布団で癒されようと思いまして。
「アルディさんと寝るのはとても気持ちが良くて癖になりそうです。今度からはちゃんと断りを入れま」
「アホかーーっ!その口を今すぐ閉じやがれっ!」
片手で掴まれた頬骨がミシっと嫌な音を立てる。
痛いやめてうぎゃー!と声もなく懇願していたところ、その力がスッと遠退いた。
「貴様……我の娘に何をしておる」
最初のコメントを投稿しよう!